錯乱 ゆたかな未来のパートナー
前回の記事が、子どものパニックに関係する内容でしたので、そのつながりで今日は「癇癪」について書いていこうと思います。
というのも、この5月、6月の衣替えの時期、梅雨時期、季節の移り変わりの時期がとても苦手な親族が多く、特に感情豊かなタイプの子供達は泣き叫んだり、親にとってはわけのわからない言いがかりをつけたりと、おかしな調子になる子が続出します。
小学生が主ですが、中学生でもまだまだ、癇癪が炸裂するほどの「苦手な季節」が、今なのです。
その例を見ていくと、
・ 学校から帰宅した時から「疲れでくたくた」なので、何もやる気が起きない → 手洗い・うがい、ランドセルを片付ける、よごれた靴下を脱ぐ、宿題は何?と問われる、などが要求される「気持ち」になるとぐんと不快指数が上がり、機嫌が勝手に急降下する。
・ 学校から帰宅後は何もしないでごろんとなるか、ゲームやテレビに逃げる。
・ 机に座ってぼーっとしたり何かいじって「その気分をしのごう」とする
・ 宿題が全然、終わらない・気分がのらない、最小限の力しか出せない。
・ 片付け、晩ご飯、お風呂などの「やるべきこと」がすごくおっくうでとてつもなくしんどく感じるため、動きがスローになり、考える・動く事を放棄して逃げを打つために怠け者のように見える。
・ 寝る前になってその日の朝から帰宅までのことが頭の中に「不快なものが優先的に」フラッシュバックするため、突然、パジャマが上手く着れないとか、掛け布団の状態が気に入らないとか、足がむずむずして寝れないとか、何かと文句を言って錯乱したり泣き叫んだり、沈み込んだりする。
・ 翌日、感情が非常に不安定になる。何かと言いながらも混乱を見せる。絶対に何か忘れ物をしている、服が上手く着れない、服や持ち物(ハンカチ、ティッシュなどを含む)が気に入らない、家族集団の中で順番などが自分の思うようにいかない(トイレや洗面所の使用、家を出る順番など)などがきっかけ(の言い訳として)ダダ崩れする。
・ 集団登校や、帰宅後の習い事時やお買い物などでの徒歩でまともにまっすぐ歩かない、ぐずるなどする。
等々、他にも色々な「生活の中で普通にすることができない・やりたくない・荒れる」という状態がバーッと表に出てきます。
能力的にできないのか、感情的にパニックや混乱でできないのか、入学したてだからか、ゴールデンウィーク明けだから休みたいのか、3年生、4年生というギャングエイジになったため学校が嫌なのか、勉強が難しくなってきたからなのか、など何が原因なのかと考えると思いますが、もちろんそうしたこともあると思いますが、大元は「この時期の変化」である可能性も大です。
この時期の日差しの明るさが目に痛い、緑が萌え出て生命力を感じさせる「変化」が心理的不安につながる(変化に弱いため)、肌感覚が変わった(湿気を強く感じる、逆に夜は乾燥するなど)、周囲の人たちの服装が変わった(衣替え)ことで視界に写るものに大きな変化が「急に」起きてきて不安を醸し出す、など五感で感じる不快指数や不安が増大する時期です。
私達の親族の場合、環境や条件の違う人間を多少は比較対象して考えることがあります。例えば、私立や公立の小学校に通っている子達の中には「制服組」がいます。この制服組は、数週間前から成長に合わせて「夏服の追加購入にして」のお知らせを持ち帰ったり、「6月1日からは夏服ですよ!」とたびたび、学校からお知らせがあるので「意識的に変化に準備が十分できている」からだと思うのですが、朝の支度については精神的な揺れ動きが少ない、という結果が得られています。
帰宅後や夜のパジャマのことでひっくり返って泣く子でも、朝の学校の制服は黙って着る(それしかないので)、というケースで朝は親も助かっているという感想が一定数ありました。
一番大変なのは、帰宅後です。この時期、五感の変化に特性を多々刺激される1日を過ごして帰宅するので、疲弊度がものすごい状態です。
ですので、親族がしていることとしては、まず帰宅したら先に子供が好む飲み物(氷を入れたほうじ茶など、すっきりするもの)をさっと与えて、氷系のあっさりしたアイスや冷凍みかんなどを食べて、体温を少し下げて落ち着いてから、おやつやおにぎりなどで小腹を満たしています。
そうしてお腹の具合が落ち着いて、体温も落ち着いて、ほっと一息ついてから羽織るだけでいい甚平や女の子はかぶるだけで良いワンピースなどにさっと着替えて、何もしない時間を30分ほど、おやつやごろごろしたりで過ごします。
その後、「宿題は?」と言わずに「鞄の中のプリントとかランチョンマットとか取り出すね、ついでに宿題も取ってきてあげよう」と手助けします。
勉強する場所、リビングや机のある場所はあらかじめ涼しくしておき、西日が入ってくる・日差しの照り返しがある場合はカーテンなどで光を和らげて、湿度や温度の高さでむっとする暑さを感じないように環境を整えておきます。
ここまできて、やっと宿題をする「気分」にのれるかどうか、です。「はい、やろう」と言うより、「ノート置いたよ」と手を取って一緒に勉強する場所に移動してあげて、黙って側にいてあげる方が暑苦しくなく、耳過敏になっているだろう子どもの耳障りな小言で刺激して崩れるようなきっかけになる等を防ぐことができます。
あとは、どうしても宿題ができにくい、体調が立て直しにくいという場合は、お風呂をプールにして遊ばせてあげたり、温度が低めのお湯にして、「ちょっとお風呂でゆっくりしておいで」と促してあげるのもいいかと思います。お風呂用の遊び道具、女の子ならとろりんちゃん(下にご紹介しておきます)など、男の子なら水鉄砲系などを駆使すれば、気分転換になろうというものです。
家でリラックスできる、体調が整えられる状況だと、癇癪は「少し」減ります。または、早めにだだ崩れの状態から落ち着いていきます。
この時期は何しろ、変化にとんだ気候ですし衣替えなどのびっくりするような1日で大変化のある時期なので、少し子供自身に訴えかけたり説明したり
るのを控えめにして、先に過ごしやすい生活環境へ調整していくといいかなと思います。
この時期の環境調整を数年重ねて、上手くいくようになったら、子ども自身に「あなたは~~という調整をすると、とても快適に過ごせるよ。」という風に具体的に、今までしてきたことの知恵をさずけて、その後は一人で服や体調の管理ができるように応援してあげると中学生もしくは高校生ぐらいまでに、自分の気候の変化が激しい時期のへたり具合と五感の刺激で苛む神経(イライラ)のことを自分の特徴であると理解して、工夫して行けるようになると思います。
参考になれば幸いです。
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これは凄い!錯乱を便利にする8つのツール
「全ての謎が解けるまで、
この島から出ることはできない」
究極のミステリー超大作と
煽りが凄い作品。
『シャッターアイランド』
[Shutter Island]
(2010年)アメリカ映画
<あらすじ>
連邦保安官のテディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)とチャック・オール(マーク・ラファロ)は犯罪者を収容する精神科病院があるシャッターアイランドを訪れる。失踪した女性患者を捜すため捜査を始めたテディたちだったが、彼は不吉な展開をすぐに見始める。捜査が進むにつれこの島にまつわるショッキングで恐ろしい真実を暴き出していくテディ。そこには一度足を入れたら二度と出ることができなくなる場所があると知る。
<スタッフ>
監督・製作 マーティン・スコセッシ
脚本 レータ・カログリディス
原作 デニス・ルヘイン『シャッターアイランド』
製作 ブラッドリー・J・フィッシャー
マイク・メダヴォイ
アーノルド・W・メッサー
製作総指揮 クリス・ブリガム
レータ・カログリディス
デニス・ルヘイン
ジャンニ・ヌナリ
ルイス・フィリップス
音楽 ロビー・ロバートソン
撮影 ロバート・リチャードソン
編集 セルマ・スクーンメイカー
<キャスト>
レオナルド・ディカプリオ(テディ・ダニエルズ)
マーク・ラファロ(チャック・オール)
ベン・キングズレー(ジョン・コーリー)
ミシェル・ウィリアムズ(ドロレス・チャナル)
エミリー・モーティマー(レイチェル・ソランドー)
マックス・フォン・シドー(ジェレミア・ナーリング)
ジャッキー・アール・ヘイリー(ジョージ・ノイス)
原作はデニス・ルヘインの
ミステリー小説。
精神障害の犯罪者を収容した孤島で
外部からやってきた連邦保安官2人が
行方不明の女性の捜索を依頼されるが
嵐で帰れなくなり、
医者や精神病患者たちの
奇妙な世界と
この島で行われている秘密に
足を踏み入れてしまう
というストーリー。
衝撃のラストと聞いて観ましたが
確かに衝撃的で良かった。
○○オチは多いけど
見せ方が上手いので
特に2回目の観賞が楽しい。
ディカプリオの妻役で
当時30歳の
ミシェル・ウィリアムズが可愛い。
好みのタイプのちょいブサ顔です。
★★★★☆ 犯人の意外性
★☆☆☆☆ 犯行トリック
★★★★☆ 物語の面白さ
★★★★☆ 伏線の巧妙さ
★★★★☆ どんでん返し
笑える度 -
ホラー度 △
エッチ度 -
泣ける度 -
総合評価(10点満点)
8点
————————–
※ここからネタバレあります。
—————————
●1分でわかるネタバレ
○被害者 —●犯人 —動機
①テディ・ダニエルズ —●病院の医師たち —治療
<結末>
テディは人体実験を暴くため
誰も立ち入ることができない灯台へ。
そこにはコーリー院長がいて、
テディに真実を話す。
テディ自身が67番目の精神病患者で
この島で2年間も治療していたが
結局治らなかったという。
テディの本名は
アンドリュー・レディス。
そんなのウソだと怒るテディだが
チャックことシーアン医師も
これが真実だと告げる。
テディは2年前に
娘たち3人を
溺死させた妻を殺して以来、
精神が病んで
妄想の世界に閉じこもっていた。
現実との矛盾を教えるために
医師たちが大掛かりな芝居を打ったが
完全には戻らず。
テディは手術の道を選ぶことに……
●どんでん返し
この映画のどんでん返しは
実は主人公が精神病患者だった
というものです。
それが視聴者にわかるのは、
灯台の中に乗りこんで
医師たちの悪行を暴いてやろうとしたら
コーリー院長だけがいて
体調はどうかねと聞いてくる場面。
すべてを見透かされていることに
視聴者は戸惑う。
そして医師の口から
次々と真実が明かされる。
実はテディが精神病患者で
2年前からこの島で治療していたこと。
現実から目をそらすため
空想の物語を作りあげている……と。
じゃあ今までの医師たちの
人体実験だの
失踪したレイチェルの話は
一体何だったのかと言うと、
それが医師たちの行った
ロールプレイ治療だった。
テディは前に一度回復したが
また戻ってしまった。
ジョージ・ノイスとの暴力事件で
危険人物と判断されたが、
理事会にもう一度チャンスをもらい、
空想を作り上げた患者に
同じ設定の物語を
実際に自分で演じさせてみて、
空想と現実との矛盾に
気づかせるというゲームを試した。
暴力的なので何か
間違いがあっては困る。
その監視役に
シーアン医師(チャック)を同行させた。
この作品は
精神病オチによくある
「今までのは全て妄想だった」と
いうのとは違います。
妄想を現実化して演じさせられて
全員がグルで主人公を騙したパターン。
芝居に翻弄されたテディを
被害者とするなら
病院の医師たちが全員犯人になる。
大人数の犯人トリック作品としても
なかなか秀逸です。
※水色はミスリード、紫色は伏線です。
病院側が何か企んでいると
思わせる方向がミスリード。
視聴者は
どうしても主人公側から見るので
医師たちの仕掛ける矛盾が
「罠にはめられているのでは」と思わせる
ミスリードとして効いている。
とくにポイントなのが
チャックが消えてコーリー院長に
「俺の相棒チャックはどこに?」と尋ねると
「相棒などいない。
君は一人で来た」と返される場面。
実は院長は嘘を言っていない。
二重にとれる言い方で
視聴者をミスリードしている。
レディスとして一人でここに来たし、
チャックという相棒は元からいないのだ。
崖の横穴で出会うレイチェル医師も
ミスリード要員。(後で詳しく解説します)
すべて芝居だったと
示唆する方向が伏線。
最初にレイチェルの担当医として
名前だけ出ていたシーアン医師が
実はチャックの本名だった。
この場面も衝撃的だ。
お前だったのか!?っていう。
そういえばチャックは
入り口で銃を外すのに
やけに時間がかかっていた。
保安官じゃないので
慣れてないから仕方ないね。
看護師がシーアンの名前が出た時、
ついそっちに目線が行く。
右側にチャック(シーアン)がいます。
水に苦手意識があるのは
子供たちが湖で溺れてしまったため。
灯台まで泳げたので
「ちょっと」だけ苦手なのか。
レイチェルが周りの人間を
「牛乳屋」「郵便配達人」と
妄想の世界を作っているという話は
そっくりそのままテディのこと。
テディが死んだ妻などの
幻覚を見るのは
過去にあるトラウマの伏線。
ピーターの尋問で
鉛筆でグリグリする音を聞かせて
相手が嫌がる。
どうしてそれが嫌だと知っていたかといえば
自分もここの患者だから。
C塔でテディが患者に襲われた時、
テディより患者の方を心配するのは
テディが暴力的だと知っているから。
●名前のトリック
テディ・ダニエルズと
レイチェル・ソランドーは
アナグラム(綴り替え)で作った
架空の名前。
EDWARD DANIELS(エドワード・ダニエルズ)
ANDREW LAEDDIS(アンドリュー・レディス)←本名
RACHEL SOLANDO(レイチェル・ソランドー)
DOLORES CHANAL(ドロレス・チャナル)←妻の本名
レディスという奴を追いかけていたが
それが自分の名前だったことすら
気付かなかった。かなり重症だ。
エドワードの略称が
なぜ「テディ」なのか?
エディがテディになった経緯は諸説あり、
「ロバート」を「ボブ」とか
「マーガレット」を「ペギー」とか
そう呼ぶことにいつの間にか
なってしまったようだ。
日本人には謎だ。
●勝手にミシェル特集
個人的な趣味で
ミシェル・ウィリアムズの画像を貼るコーナー。
●よくある疑問
Q,テディが幻覚を見るのはなぜか?
テディは過去2年間、
クロルプロマジンを投与されていた。
クロルプロマジンの使用で、
特に頻繁に遭遇する副作用は以下の通りである。
- 循環器(血圧降下、頻脈、不整脈、心疾患悪化)
- 血液(白血球減少症、顆粒球減少症、血小板減少性紫斑病)
- 消化器(食欲亢進、食欲不振、舌苔、悪心、嘔吐、下痢、便秘)
- 内分泌(体重増加、女性化乳房、乳汁分泌、射精不能、月経異常、糖尿)
- 精神神経系(錯乱、不眠、眩暈、頭痛、不安、興奮、易刺激、けいれん)
- 錐体外路症状(パーキンソン症候群、ジスキネジア、ジストニア、アカシジア)
本来はこの薬を使いたくないが
テディは危険な患者なので仕方なかった。
今回の治療では
投与を中止しているため
反動で禁断症状が出ている。
煙草は薬の効果を低下させるのですが、
チャックが煙草を勧めるのは
禁断症状を弱めるためです。
煙草に薬を仕込んでも効果は弱いので
何も仕込んでないですよ。
自分も同じ煙草を吸わなきゃいけないし。
Q,テディの額の絆創膏は何?
後で出てくるジョージ・ノイスと
争った時にできた傷。
ロボトミー手術の痕だという説もあるが、
この時点で手術していたら
こんな会話はまず無理だ。
これ自体が妄想ということに……
Q,ミセス・カーンズが水を飲むシーンで
コップが消えているのはなぜ?
彼女は「RUN(逃げろ)」と書いたり、
どうやら主人公に真相を
教えようと思っていたらしい。
このシーンも主人公へのヒントだが、
実は「あなた」へのヒントでもある。
右手で飲むふりをして見せ、
左手でコップを置いた。
コップが空になっているから
水を飲んだのだと
「あなた」は思いこまされた。
これは人がいかに騙されやすいかを
「視聴者自身」に試した監督の遊び。
妄想が入っているなどと
解説しているサイトは間違いです。
気付いた「あなた」は偉い。
監督がメイキングで言う
「カットの繋ぎ方を楽しんだ」とは
そういう意味でした。
Q,子供を殺したのは妻ドロレス?
そうです。
ドロレスがうつ病で
アパートが火事になって
引っ越した先の
湖畔の別荘で悲劇は起こった。
土曜日の午後、
息子サイモンとヘンリー、
娘レイチェルの3人を溺死させた。
「楽にして」と言うので銃で殺してしまった。
彼女がいつから
うつ病になったのかは判明していない。
火事で自殺を図った時に
頭の中に虫がいて
それが這いずりまわって苦しいと
テディに助けを求めたが
仕事が忙しくて取り合わなかった。
彼女を助けてやれなかったから
自分が子供たちと妻を殺したと責め、
架空の物語に逃げ込む。
自分は連邦保安官テディ・ダニエルズで
妻は火事で死亡。同時に4人が死んだ。
犯人は放火魔レディス。子供はいない。
シャッターアイランドには
失踪したレイチェルの捜査でやってきた……と。
Q,レイチェル医師は実在したのか?
崖の横穴で出会う女性
レイチェル医師は
幻覚ではなく、
実際にあの横穴にいました。
しかしあの女性は
「レイチェル・ソランドー医師」に
間違えられた人にすぎない。
※正体は後で教えます。
あのレイチェルが幻覚だとすると、
横穴で火を焚いてあること自体が不自然。
人がいなかったら怪現象だ。
火に手をかざして暖まっているのだから
火も幻覚というわけではないだろう。
もし仮に
あのシーンまるごと幻覚で
横穴すら入って無いとしたら、
テディは一晩どこで明かしたのか?
そっちの説明も必要になる。
それとレイチェル医師は
医学の専門的な話をテディに聞かせた。
ロボトミー手術の方法や痛みのこと、
テディすら知らない医学知識を
幻覚に言わせることができるだろうか?
自分で勉強したとは思えないよ。
まず無理でしょうね。
実在で確定です。
そしてここからがポイント。
レイチェル役は2人います。
レイチェル1は病院の看護師
(エミリー・モーティマー)です。
戻ってきたレイチェル役をしました。
レイチェル2が洞窟にいた女性
(パトリシア・クラークソン)です。
その正体は
精神病患者(囚人)でした。
本人はレイチェル医師に
なったつもりはない。
テディが勝手に思いこんで
「レイチェル・ソランドーだな」と尋ねたが
相手は何も答えていません。
自分の名前を名乗ってもいません。
そもそもレイチェル自体が架空の人物。
この会話のちぐはぐなところを
再度観ると面白いですよ。
上手いこと錯覚させています。
で、問題なのが
この女性は病院側の指示で
ここにいるのか、
逃げ出した狂人なのか?ということ。
本当に逃げ出した
精神病患者だった可能性が高い。
しかし
最初の方でこの洞窟を見せて
「あそこは捜索したのか?」
「あそこに人は行けませんよ」
という会話を出したので
テディを混乱させるために仕込んだ
病院側の役者だった可能性もある。
どちらかはっきりわからない。
もうひとつ、
テディがこの人物に会ったのは
チャックの転落死体を見て
助けに崖を降りたからだが、
あれはテディの妄想。
岩肌が人の形に見えて
チャックの死体だと勘違いした。
飛んで来た受入票も
ネズミの大群も幻覚だった。
●結末の解釈の仕方
多くの人がこの映画の結末は
2通りの解釈ができるという。
①テディは精神病患者で
結局症状が改善しなかった
という表面通りの見方と、
②テディの言うことが真実なのに
医師たちに洗脳されて騙された、
という裏の見方です。
実は正解は出ています。
①のテディは精神病患者だった、
が正解でした。
ストレートな解釈でいいんですよ。
テディが最後に言う
ある台詞にその答えがある。
テディとチャック(シーアン)が
これからどうする?と
話している時に
急にテディが
「島を出ようチャック」と言い、
「この島じゃ、とんでもないことが起きている」と
再び妄想の世界に入ってしまう。
それを聞いたチャックは、
もう駄目だこいつ……と、
コーリー院長に目で合図する。
それを見た医師たちは
がっくりして肩を落とす。
このままでは危険だと
最後通告されているので
仕方なく手術の準備をする。
その後のテディが言う
台詞に注目してほしい。
“「どっちがマシかな?
怪物として生きるのと、いい人間として死ぬのと」”
その言葉を聞いて今度は
シーアンの方が驚いた。
それはなぜか?
そうです。
医師たちにロボトミー手術を
決行させるために
テディはわざと
「症状が悪化したふり」をしたのだ。
今は正気でも
また暴れる可能性は高い。
前にも回復したと思ったら
また戻ってしまったことがある。
このまま治るかどうかもわからない。
もうこれ以上自分が人を傷つけるのは
耐えられないと感じたからこそ
テディは自らロボトミー手術を受けて
感情を失くして生きることを選んだ。
……というのが真相です。
なんとも切ないですね。
でもちょっとカッコいい終わり方。
ネットのレビューで
“どの解釈が真実なのか明確な証拠がありません。”
という奴がいるが、
明確な証拠はたくさんあるよ。
医者たちの対応は悪人に見えないし、
テディを救ってやりたいという
気持ちは伝わってきたはず。
yahoo知恵袋のアホ解答を例に
論破してみましょう。
”主人公が妻の死をきっかけに調査をしにシャッターアイランドに来たことは事実だと思います。そして、この映画が始まる前、過去に一度は訪れていたことも数々のヒント(患者が彼を知っているような素振りを見せるなど)で明らかだと思われます。そこは推測するしか無いのですが、たぶん質問者さんの言うとおり、潜伏して調査をしてたんだと思います。”
過去に一度来たくらいで
患者が挨拶したりしない。
「彼を知っている」くらいまでになると
長い間いたことになるが、
テディは潜入捜査が
できるようなタイプじゃないだろ。
“湖でのドロレスのシーン。確かに、主人公が撃ったかのように見えますが、彼女が拳銃を奪って自殺したとの見方はかなり鋭いと思いました。自分は気がつきませんでした。”
こ
れは銃を撃った直後のシーンです。
ドロレスの右手と左手が
見えているし何も持っていない。
え~と、
どの手で銃を撃って自殺したのでしょうか?
適当なこと言ってんじゃねーぞ。
“灯台でのシーン、主人公の手が震えていることから薬の副作用がかなり進んでいるものと思われます。
でも見ている側はそれが薬のせいだとは中々気がつきません、むしろ彼はとうとう気が違ってしまったのかと印象づけられます。そこで院長が考える暇を与えず、一気にラストへとたたみ込みます。その瞬間、何故か主人公はきちがいで院長達が正しいと思い込まされてしまいます。ここで、視聴者の真実を見抜く力が試されているわけですね。”
はいはい。
真実を見抜く力をつけて出直してね。
“そしてラストの階段のシーンですが、モンスターは妻を殺した嘘に洗脳さえられつつある自分で、善人はシャッターアイランドの事実を暴こうとしている連邦保安官の実際の自分だと思います。
シーアン医師は連邦保安官に戻っている主人公を見て、洗脳は失敗したと考え院長に合図を送ります。ですが、主人公の最後の言葉を聞いて、彼は驚きを隠しきれません。何故なら、彼を含めた院長達のやっていた洗脳に主人公が気づいてしまったからです。”
そもそも病院側が
テディをどうしたいのか
お前自身がわかっていないだろ?
こんな保安官一人を洗脳して
何に利用する?
人体実験ならいつでもできたし、
茶番をやる必要などいらない。
“では何故主人公は全てを知って最後諦めてしまったのか。それは洞窟で会うレイチェルの言った言葉にヒントが隠されてます。それは、真実でも周りの人間が嘘と言ってしまえばそれは嘘になってしまう。ここは、閉ざされた島。逃げる道はなく彼らの嘘はここでは真実なのだと。シャッターアイランドとは島のことでは無く、周りの人間から孤立して閉ざされる状態を意味しているのだと思います。そして、逃げ場を失った主人公はそれを悟って、正気をたもっていられる内に自分に終止符を打とうと思ったのだと。”
もう無茶苦茶です。
洗脳できたら、
手術しないで
帰ってもらえば済むこと。
もし本当に保安官で調査に来ているなら
テディを植物状態にして
本土に帰すことはできない。
もしくは本土から誰か
調査に来てしまうと
ロボトミーテディを見て
これはどういうことだ?と責められる。
そうです。
手術する=テディが患者だから、
という簡単なこと。
病院側が手間をかけて
洗脳で手術を受けさせても
何もメリットがない。
“自分もこの考えに辿り着くまで相当時間が掛かりました。真実では無い可能性ももちろんあります。ですが、この映画は思っていた通りの結末だと思っていたら大間違いかもしれません。”
残念ながら
思っていた通りの結末なんです。
みなさんは深読みしすぎて
こんなアホな子にならないようにね。
もしそれでも
「ディカプリオが騙されてる!」
「結末は誰にもわからない」と思うなら
もう手のほどこしようがない。